近頃よく女性のみなさん仰られます。
「男はAVと夢の見すぎ」
「力任せにゴシゴシ触られても痛いだけ」
「おいしい?って訊いてくるの本当にやめてほしい」
貴重なご意見ありがとうございます。メンズノンノ編集部の方には僕の方からキツく言っておきますね。
ですけどね、僕らだって考えなしの泥人形じゃない。人間なんです。言い分だけでも聞いてください。和解もすれ違いも、一人ではできないことなんです。二人だからできることなんです。僕らが間違っているのと同じくらい、あなたたちも僕らを誤解しているんだ。だからどうか、お願いです。
出した直後の僕らを、もう一度強くしごき始めるのをやめてください。
たしかに僕はどちらかと言えばマゾ、マゾですよ。でもそれとこれとは別問題じゃないですか。
「ねえ、ここが良いんでしょ」
イエス。ご名答。名探偵かな?フフ、僕の小五郎も眠りから醒めちゃったみたいだ。
「出そうなの?まだダメだよ」
そのマネジメントスキル、もっと大きな仕事で生かさないかい?すごいよ。僕の下半身の事業予算が今にもあふれ出しそうだよ。
「出したいなら、ちゃんと言うことがあるよね?」
バルス。シータ、俺(パズー)が悪かった。もう裏アカウントで被写体やってる女とDMなんかしないよ。約束する。だからお願いだ、言わせてくれ。バ… バ… バルス!!
「あっ、もう出しちゃったの?でもまだだめ。今日は一回じゃ許してあげ」
ストップ。はいストーップ。萎えた。いや小五郎の話じゃなくてお前に萎えてる今。スタッフ(性感帯)のみなさんすみません。撤収です。
マジで、ねえ。頭おかしいの!?それは別問題でしょ?違うじゃん。わかんないの?パワーポイントで説明しようか?親に連絡して良い?マジで。
いやね。こう、普段はそういうキャラじゃない君がさ、夜は積極的になっちゃうゾ!みたいなサービス精神。ホスピタリティの心構えについては本当に評価させていただいております。弊社スタッフ(性感帯)の方でも大変評判ですよ。「あの子、AD(乳首)にもちゃんと挨拶してたよ。最近じゃ珍しいよね」って。でも積極性とか情熱だけでいい仕事ができるってんなら世話ないですよね。いいですか?
出した直後は普通に無理。リピート・アフタ・ミー。
「だした ちょくごは ふつうに むり」
よく言えました。出した直後は普通に無理。無理です。
確かにね、先程まで僕らの方でも
「くっ、この女。まったく思い通りにならねえ…!くそ!身体が言うことを聞かねえ…!ちくしょう…完敗だ…!」
みたいなノリでしたけどね。ハイ。建前ってあるじゃないですか何事にも。ないんですか?ない?言ったなお前。おめえこの間よ「誕生日プレゼントなんかいらない。石くんがいてくれたらそれでいーよ!」つってたなオイ。覚悟しろよ、3月30日。白いふんどしに「誕生日おめでとう」とだけ楷書で流して、お前んちのテーブルの上で正座して待っててやるからな。それでいいってことだな。違うだろ?オイ泣くなよ。悪かったって本当、ちがうじゃん。俺言い過ぎるところがあるだけで本当は日菜子のこと大切に思ってるじゃん。ごめんってちゃんとお祝いしようね。
ちがうそうじゃなくて、建前だよ。こう、二人の夜をよりドラマチックな色で照らす為の優しい嘘だよ。
もう俺の事はなんと罵倒してくれても構わないんだけど、俺はね、いや俺たちはね?
「思い通りに思い通りにならなくなってほしい」
これなんです。本当に申し訳ない。今まで付き合ってくれた彼女、両親、友人、恩師。みなさん本当に申し訳ない。無茶を言っているのはわかっている。俺は大学を出ているから。でも俺の本当を君に伝えるにはこの言葉しかないんだよ。思い通りに、思い通りにならなくなってほしい。してほしい。ワガママでごめん。いつも迷惑かけるね。あとこの間コンビニで君が万札しか持ってなかったから俺が払っておいた分今返してもらっていい?愛してるよ。
したいこと、されたいこと、あるじゃないですかやっぱり各々。生まれた場所育った土地も違うから、性の原体験も一人一人違うわけですよ。
確かに俺は「言葉責めと日菜子とGRAPEVINEの4thアルバムが好きだよ」そう言った。でも「死ね無能、家狭いんだよ貧乏人」とか言われながら握られるのは違います。確かに俺は「痛いのは嫌いじゃない」そう言った。言ったが、血が出るほど噛みつくのはやめて。加減ってあるじゃん。ひょっとして君は、二進数かい?幼いころ両親が家を空けることが多くって、母さんが弁当とか冷凍食品とか買い置きしてくれてたのをよく食べていたんだけれどさ、ある日メロンパンがお昼に用意されてて初めて食べて「なんておいしいパンなんだ!」ってビックリしてさ。それを母さんに言ったら毎日メロンパンになっちゃって。しかも紅茶味のメロンパンとかココア味のメロンパンとか、気を利かせてちょっと変化をつけてくるもんだから俺なんか「母さんメロンパン飽きたよ」って言い出せなくってさ、それでメロンパンが嫌いになったんだよね。限度があるよね。
うれしい苦痛と、そうでない苦痛があるんだよ。倒錯ってそういう矛盾なんだよ。わかってよ。俺のこと、わかってくれよ…
俺はですね、うしじまいい肉先生がおっしゃっていた「女の子の内部は、鼻の穴の中を触るぐらいの力感覚で触れ」という言を全面的に信頼しているので大変なソフトタッチを心がけているんですけど、女性にもいろんな方がいらっしゃるようで
「もっと激しく、力強く、お願いします」
みたいな。アマゾネスみたいな女性も実際にいらっしゃいました。手技口技に関しましても「お前、SASUKEの最中か?」みたいなフルスピードフルワパーで俺の反り立つそれを山田勝己してくるんですよね。痛いっていうかもう感覚がなくなる。腕ゴシゴシされてるのと同じ気持ちになるよね。
と思えば「気持ち悪いって言われながら本気で蹴り倒された挙句に財布の中身を全部献上するのが好き」みたいな、弾道ミサイルみたいな性癖の女もいた。
人間の、したいことされたいことなんていうのは紙一重。察する心、正直に伝える勇気、わかりあうための努力。性癖という答えのない難問に挑むのに必要なのはそういう信頼関係なんじゃないんでしょうか。
「キスしただけで硬くなってるね」
ち、ちがうこれは今起きたばっかりだから…
「もしかして触ってほしいの?」
そんなわけ… やめろ脱がすな!
「ねえ、たまたまパンパンだよ?ここ吸われたらどうなっちゃ」
オイ、別れよう。俺たちもう無理だ。無理。さよなら。