リス1匹の戦闘力は黒人男性2人分のそれに匹敵する

 町田にリス園がある。

 その名の通り、リスを主体に置いた動物園なのだけれど、場所も近いので行ってみようと話になり翌週末の予定にリス園の3文字が追加された。

 リス園。

 俺はリスのことをよく知らない。茶色くて、しっぽが大きくて、木の実を食べる。そのくらいしか知らない。

 せっかくリスだらけのリス園に行くのに、リスの事を全く知らないままではもったいない。そう思ってリス園に向かう前に少しだけリスに対しての理解を深め備えようと思い軽くリサーチしたところ

 

アメリカの夫婦が凶暴リスに襲われ入院! 同じリスに8人が被害

 

 とんでもない予定を立ててしまった。

 この前傾姿勢、小学生の時ゾイドで見たそれである。光を湛えない昏い目からは「殺して食う」という強い意志が見て取れる。

 そういえば、バナナマンのラジオか何かで聞いたことがある。

「リス1匹の戦闘力は黒人男性2人分のそれに匹敵する」

 ふざけるんじゃねえ。

 なにが町田リス園だ。米軍基地じゃねえか。俺はいかねえ、いかねえぞそんなところには。

 取り乱してしまったが、都内で何年も運営されている施設ですし、ちゃんと安全対策的なことはなされているんだろう。いくら戦闘力が黒人男性2人分とはいえ、ケージに収まっていればかわいいもんですよ。DVDでエディーマーフィを見るのとおんなじですよ。

 

小さなリス園 町田リス園

「放し飼い広場」は外周200mの広場に約200匹のタイワンリスが放し飼いにされています。ひまわりの種を直接リスに与えることができます。

――町田リス園公式サイトより

 小学校の運動場よりも狭い空間に、黒人男性800人の集落が爆誕。

 7.1chサラウンドで黒人男性に包囲。ホットドッグを恐る恐る手渡すとニカっと笑い一言「thanks」口元から覗く歯はホワイトハウスのように白く、肩に乗せたラジカセでNasを聴きながら彼はハイエースへと吸い込まれていく。
 呆然とするおれの背後では当然ラップバトル。そして突然始まるブロックパーティ。手渡されたコーラには故の知れぬ白い粉が浮いてダマになっている。
 おれは手のひらについたケチャップとマスタードをジーンズで拭い、それを飲み干した。

 

 よく都の認可が下りたな。小田急線沿いにこんなイルなストリートがあるなんてよ。

 リスとリス園に対する認識を改めなければならないのかもしれないおれたちは。

 

 イエス。ベリーキュート。Cawaii。

 でもこの写真もタイトルの等式に当てはめて因数分解を行えば

 


*映画 バットボーイズより

 こう。

 笑顔でむさぼりつくそれは、木の実ではなく俺たちアジア人の指。欲しいものは、殺して奪う。それが町田Style。スラムの掟。法律と白人はデトロイトには不要。

「ヘイ、ガイ」

 ピザの配達に向かう途中のおれを陽気な声が呼び止める、振り向くとキツめの右ストレートがおれの頬にめり込んだ。

「良いニュースと悪いニュースがある、どっちから先に聞く」

 突然のことで白黒する頭を、乱暴に掴まれた襟と共にゆすられる。じゃあ、良いニュースを、と言い切る前にナッシュはまくし立てた

「お前のおかげでビルは一命をとりとめたらしい」

「そりゃあ良かったじゃないか」

 そう言うと同じ頬にもう一発良いのをもらった。

「悪い方を言うぜ?そのビルが入院した病院が、ヤツらのイカれたアジトだってことだ」

「おいおい、待ってくれよ!?おれはもう十分やっただろ?ビルもお前も助けてやったじゃないか。これ以上通す義理はないぜ?いいな?」

 そう言ってピザスクーターにまたがろうとするおれの背中にナッシュは腰抜けを嘲るような声色で言う

「そうか、そうだな。お前の妹も病院に向かっているようだし、イカれたピザ屋の手なんか借りなくたって俺たちだけで十分だろう」

「おいナッシュ、今なんて言った?」

「イカれたピザ屋」

「違う、その前だ!」

「お前の妹も今ビルのいる病院に向かっている」

「ファック!なんて日だ!!野郎の汚えケツにピザぶち込んで蹴り上げてやる!!」

「やっぱりお前は最高にファックな野郎だぜ。お前のケツにキスしてやりたい気分だ」

「パーティの」

「始まりだ」

 

 始まりません。ていうか妹いないし。

 町田リス園。楽しみです。お近くのイカれたピザ屋のみなさん、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

-雑記
-

1991年8月4日生まれ。獅子座のO型。