退屈をあそばせたくっているので、四六時中飲んでいるのが実情だ。ちょうど一年前ぐらいに肝臓を壊したというのに記憶にございませんといった顔で飲み続けている。
友人もしばらくは心配していたが最近ではそれも飽きたようで一緒になって飲んでくれている。特に近頃は友達も増えた。
経堂に住んでいる。そこにmilkboyというバーがあって通い詰めいているし、最近なんかはイベントをやらせてもらっている。
とにかく酒が安く、店長はいつも酩酊状態なので会計は杜撰。客として来る分には、本当に申し分ない場所だ。
洋楽バーということで、古い洋楽がひっきりなしに流れ店長は一人でゆらゆらそれを聴いている。
「今日もう焼酎一本飲んじゃったよ」
「大丈夫ですか?お客さんみんな心配してますよ」
「大丈夫だよ。お酒一杯飲んだらお水一杯飲んでるから、おしっこになってアルコールが抜けてくんだ」
「サンドウィッチマン伊達のカロリー理論みたいなこと言いますね」
「なんだいそれは」
店長は69歳。本当に心配している。毎晩一升近くの焼酎を飲み干している。
「僕は39年ずっとここでお酒飲んでるだけなんだ。ぐーたらだよね。働いたことがないんだ」
「そんな、店持ってここまで続けれる人がどれくらいいることか」
「好きでやってるんだ。酔っ払って音楽聴いてるのが幸せなんだ。お客さんのことなんかあまり考えていなくて申し訳ない。僕は幸せだ」
どんな形でも突き詰めた人は尊敬してしまう。店長はほんとうに幸せなんだろう。羨望か尊敬かわからないが、とにかく長生きしてほしいとおもう、ただ。
「君も飲みすぎだ。水を飲みなさい」
そう言って水をくれた。