余裕がないので人に優しくできず尚一層余裕がなくなっていく

 昨日、病院に行ったら

「これは、手術ですね」

 と言われた。背筋に寒気が走った。医者が俺のケツに突っ込んだ指をグリと曲げたからだ。病名は内痔核、腸の一部を切るらしい。

 グリグリと直腸を愛撫をされながら、下半身に集中すまいと最近のことを色々思い出した。

 自分が原因で友達と口論になり未だに顔を合わせづらいこととか、身内に不幸があったこと、それでささやかな貯金がもっとささやかになったこと、最近新しい美容室で切ってもらった髪型が似合わないこと、ずっと仲が良いと思っていた人と疎遠になりつつあること、明らかに肝臓の様子がおかしいこと、それに手術。6月に切るらしい。

 5時前に病院を出たところで「そういえばまだ今日何も食べていないなあ」と思い、富士そばに入ってほうれん草うどんを頼んだ。二日酔いが酷くて、店員さんが麺を茹で上げている時点でもう一切食欲がわかなかったが頼んだ以上食べることにした。

 2本ほど啜ったところで猛烈に吐き気がして店を出てすぐ吐いた。富士そばが食券システムで良かったなあと思った。涙目になって電柱に必死にしがみついていると、さっきの店員さんが困った顔をして

「ここで吐かないでください」

 と言った。それはそうだよな。

 近くのお寺にいって、そこのトイレでしばらくうずくまっていると波が徐々に引いていったので、次の波が来る前にと早足でコンビニへ向かい牛乳と太田胃散を買って飲みながら帰り路を急いだが、すぐに吐き気が来て口の中がすっぱくなりながら必死の思いで家に帰った。もう家にたどり着けないんじゃないかと5回ぐらい思った。着いたが。

 ベッドに横になってスマホで記事を書きながら、追いかけて頭痛と寒気がしてきたのでやっと「これは胃腸風邪だ」と気が付いた。そこからは吐き気も寒気も一層ひどくなって、余計に憂鬱になった。寝ないとまずいとも思った。夜中に電話をする約束を別でしていた。

 仮眠をしてみたものの30分で吐き気がして飛び起きて、そのまま朝の5時までトイレとベッドのシャトルランになった。妻夫木聡が主演の悪人っていう映画を見ていた。あんまりおもしろくなかった。待っていた電話は結局来なかったけれど、朝方に友達からくだらない連絡が来てくだらない返事をしていたら、何だかとても助かった気持ちになって一人で泣きそうだった。

 結局今日も体調はまるでダメで、行くと約束していたサウンドクルージングにも行けなかったし仕事もリスケジュールしてしまった。熱があって身体がだるいのか、それとも心のせいか、わからないがとにかく色んな人に申し訳ないとともにこんなことを文にしないと平静を保っていられないくらいに落ち込んでいる。

 余裕がないと人のことを悪く悪く思ってしまう。良い言葉も悪く解釈して、悪い言葉は、もっと悪く解釈して勝手に落ち込んだり怒ったりする。

 富士そばの店員さんは立場上俺を追い払うしかないんだ。と、理屈ではわかりながらも心は「こいつこんなに弱ってる人間によく言えるな」と逆恨みに駆られるし、誰かが「伊藤くんのこと俺は好きだよ」と言ってくれたことに対しても、本当か?と勘ぐってしまう。

 そればかりか、良いこともたくさんあったのにそこに目が向かなったりもする。

 新しく友達ができたとか、仲の良い後輩が東京に引っ越してきたとか、すごいエロい事件があったとか、会いたかった人に会えたとか、褒められたとか、友達が仕事手伝ってくれたり、俺に手伝わせたりしてくれたとか、靴買ったとか、初めてキャバクラに行ったとか、面白い先輩が出来たとか、そういうことを全部すっ飛ばして、しんどいことばかり思い出してしまう。余裕がないとそう。

 つらい時こそ本当の人間性が出るとよく言うけれど、だとしたら俺はクズもクズだと思う。今はとても人になにかしてあげられる余裕がない。今電車に乗れば間違いなく優先席に座るし、きっと誰にも席を譲らない。無理だ。

 余裕くらいしかいいところがないんだから、取り戻したい。でなきゃきっともっと事態は悪化するし余裕はもっとなくなる。

-雑記
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1991年8月4日生まれ。獅子座のO型。