最近レバテキなるものを食べたが、今思えばどうも様子がおかしかった。
ビフテキ、テキカツ、と言ったようにテキという字列は欧米で言うところのステーキのことを指す。
しかし頼まれてやってきたレバテキ氏の装いと言えば
こう。どうみても生。不遜、堂々たる面持ちでレバサシ氏入場。すみませんボーイさんこの子パネルの子であってます?あ、メイク。メイクね、はいはい。あの、ところでやっぱり30分のコースにしてもらえますか?
不思議だね。インターネットではこんなに前のめりに構えられるのに、いざ現実となると途端に飲み込む言葉が増えてしまう。
「店員さん、これレバサシですよね」
その一言が言えない。
「その、今日もうさ、遅いしうち泊まらない?」
口から出なかった言葉たち
「お前の自撮りアカウント、クラス全員にバレてる上にライングループのアイコンにされてるよ」
その一つ一つが今のおれをつくっているんだ。いるんだけど今は関係ないし、このレバーは間違いなく生。生です。
そんなおれの心の進退をよそに友人2名果敢にトライ。
訊くに、レバテキとは元来こういうものらしい。レバーを表面だけ炙ったタタキのようなものだそうでこれはレバテキそのものに違いないそうな。
へえ、そんなものか。みんながそう言うんならそうか。よく見れば隣の卓でも食べられてるわね生のレバー。へーひとつ賢くなった。
と思っていたのが数日前の話で、今日その日飲んだ友人から電話がかかってきた。
「なんか、高熱と水便が止まらなくて、今日」
何も言えなくて、夏。みたいな構文で始まった悲しい報せを訊いているうちにおれはピシリと思い出した。
「そう言えばレバサシって法規制はいらなかったっけ」
調べてみると出てくる出てくる生レバー禁止の触れ込み。生のレバーはどう処理しても当たる時は当たるそうで、法律で生食用のレバーの取り扱いが禁止されたそうな。身体を張った課金ガチャでございます。来いゼウス!!おれの直腸にドンと来い!!
しかしおかしい。法規制が入っているのにどうしてあの店は生レバーを提供できているのか。高級割烹でも会員制のレストランでもなく、世田谷の大通りに面したごく普通の赤提灯である。メニューにもちゃんと載っている。はて?
調べてみると
「このレバテキなるものはどうやら脱法生レバーらしい」
という噂にたどり着いた。ヤクい。
おれは全然好きじゃないんだけれどレバサシにはそこそこ数過激なファンがついているらしく、法をかいくぐってでも、大当たり引いて死ぬことになろうとも食べたい!という客がいるそうだ。そういう人に限って当たると大騒ぎしますよね。なんなんですかね。
そこに目を付けた店舗側が「火をくぐらせてるのでステーキですよ!」という建前の元に保健所の目をかいくぐって実質生レバーをレバテキとして提供しているそうな。
恐ろしいことですよ。何が恐ろしいって今日あれから丸2日目なんですけど、食中毒って潜伏期間2〜5日ぐらいあるらしいんですよね。
なんかちょっと熱っぽいしハラも痛い気がする。
来いゼウス!!