会えなくなった友達といまの友達

 会えなくなった友達のことを思い出す瞬間がある。それは、大体どうでもいいテレビのバラエティを見ていたりネットのニュースを見てるときなんかで「ああ、あいつ福山雅治のモノマネ下手だったなあ」とか「箱根、みんなで行こうって計画してたなあ」とか。浮かれた旅行の話と政治家の公約は大体実現しないし、昔の友達のことを思い出したって何の足しにもならないが、それでもたまに、会えなくなった友達のことを思い出す瞬間がある。

 いまは、SNSさえやっていれば誰とでも繋がれる時代になっている。不本意に昔付き合ってた人が友だちに追加されて、あたふたしたりしたこと、誰しもあるんじゃないだろうか。僕はあるぞ。

 そういう時代だから、環境が変わって昔の友達となかなか会えなくなっちゃったとしても、なんとなく「いまこんな感じなんだな」とかってお互い把握はしてるし連絡だって取ろうと思えば取れるんだけど、いざ会おうかと言われればそれは仕事の都合だったり恋人との時間や趣味の時間を考えると「土曜日か日曜日は予定あるから平日の夜なら基本いつでも…あ、でも月末月初忙しいもんね…」なんてお互い譲歩しあってくうちに結局話は流れてしまったりする。

 全然よくある話。こんなのはもはや、悲しくもなんともない。人ってそれぞれ、その時々によって大事な物ってあるし。

 そういうわけで、ほんとの意味で「会えなくなってしまったなあ」と思うことなんて、活動を辞めて実家に帰っちゃったバンドマンとか、バイト先バックれちゃったまみちゃんとか、あとは友達の元カノとかね。昔付き合ってた人のまわりの人もなかなか会いづらかったりする。元気かな、ありちゃん。

 高校に入学してすぐに仲良くなった松下くんという人は「学校つまんなくない?俺、ラップとかやりたいんだよね」って言って夏が来る前に高校を辞めてしまったんだけど、松下くんはあのあとどこへ行ってしまったんだろう。

 真面目でとても誠実だったけど走り方はロボみたいだった青山くんも急に学校を辞めてしまったけど、いま何してるんだろう。

 学校が全てじゃないから彼等が高校を辞めたことなんかなんだっていいし、人生だってどうにだってなるし。きっと彼等が学校を辞めていなくても連絡不精な上に地元をさっさと出てしまった僕は、彼等といま連絡を取ることなんかないんだろうけど。

 そんなことは全然わかっているんだけど、それでもなんとなく思い出してしまうのは、単純に「会わなくなる」という過程がちゃんと踏めなかったからだと思う。

 人間、物分かりがいいから気休めでも「またいつか」とか「いままでありがとうさようなら」みたいなことが言えたり聞けたりすれば、なんとなく気持ちの整理がつく。

 「締め作業」というとすこし事務的な感じがするけど、ちゃんとそういうものがあれば、とんでもなくこじれた恋愛でもない限りは大抵、寂しさはあっても諦めはつく。

 だから周りの誰かが突然いなくなったりすると、その「締め作業」が出来ずにその人とのこれからがシャットアウトされてしまう訳だから心が消化不良を起こして、僕の中での松下くんや青山くんのように、こうしていまでもふとした瞬間に思い出してしまったりするのかもしれない。

 環境が変われば、人間関係も変わる。たぶん、変わる。変わらない関係もたくさんあるけど、変わるもんは変わる。

 僕はすこし前バンドのサポートをいくつかしていた時に、それと同時に小さな会社の事務の人として働いていたんだけど(当時は「美人の人妻を18人奉仕して月700万もらっています」と嘘をついていた)その時の同僚とはいまでも一緒に集まってお酒を飲む。みんなそれぞれ別の会社に転職したり結婚したり事情はあるけれど、それでもほんとにたまに新宿の焼き鳥屋で集まってウーロンハイばっかり飲む。女性も多いのに、なぜかみんなお茶割りばっかり頼む。多いときは10杯ずつくらい飲んでる。

 僕はこの飲み会で一度だけ記憶がなくなるまで飲んでしまって、終電に乗れたにも関わらず気まぐれで降りてタクシーに乗って帰り、朝起きたら枕元に大量のカップ麺と親子丼が3つ放り出されていたことがある。なんだったんだろうなあ、アレ。甲類が怖い。

 話が逸れました。

 昔、ダウンタウンの松本人志が「友達っていうのはそいつの悪口10個言っても酒が飲める奴のこと」みたいに言っていたのをなにかで読んだ記憶があるんだけど(正確には関西弁だったが僕は関東の人間なので標準語でお送りします)それはどうなんだろう。でも、そうだったらいいなと思う。形だけ取り繕うなんて、全然おもしろくない。

 いま、自分の身近には同い年くらいの友達が多くて、女の趣味が悪い伊藤くんも、酔うと怖すぎる下川くんも、言うほどでかくないけどそこそこでかいぱいぱいでか美もみんな同い年だ。バンドの友達で言うと、アンテナの諒くんは2個上。the quiet roomのキクピッピは2個下。ルー大柴は47個上。

 悪口を言い合うかは別として、特殊で変わった友達が多いので気を遣わないでいられるというか、遣ったところでどうにもならないことが多いのでなんとなく気楽なことが多い。(個人の感想です)

 自分がこうしてバンドをしたりして暮らしているうちは今と同じように会えるのだろうけど、バンドをやってる人間には卒業も退職もない。辞めたらそこで去るだけなんじゃないかなと、僕は勝手に思ってる。

 でも、10年後、友達にもそうだしいま関わってくれてる人たちみんなに会えなくなったら、それはちょっと嫌だなと思うので頑張らなきゃなあと、最近は思ったりしている。

 あんまり仲良くない人とでもなんとなく繋がってる時代だからこそ、友達の活躍を見てるだけになってしまったら、きっと腹が立つに決まっている。それこそ、甲類なんかじゃ気が紛れないくらいに。

-雑記
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11月生まれ O型 リコチェットマイガール